HPをご覧いただきありがとうございます。諸川電気管理事務所の諸川です。
先日、非常発電機の負荷試験についてあるお客様からご質問があり、自分なりに調査をしてみました。
私は一応消防設備点検資格者という、消防設備をある程度の種類を点検できる資格を持っていますが、基本的に消防設備は消防設備会社へご依頼をしていただくようにしています。
とはいえ、電気の月次点検でも非常発電機の点検はすると、なぜなのか?というお客様も中にはいらっしゃいます。
今回はその辺のお話も含めしていければと思います。
非常用発電機の法律区分について
結論から申し上げますと、非常用発電機は3つの法律により管理するようになってます。
①電気事業法
②消防法
③建築基準法
これがまあ厄介というかややこしくなる元凶で、お客様も混乱することが多くあります。
まず、電気事業法では『内燃機関(エンジン)を搭載する発電機で、10kw以上のものは事業用電気工作物の対象』となり、電気主任技術者もしくは外部委託による点検が必要となります。
また、その点検は高圧需要設備を管理する際提出する保安規程通りに実施することとなっております。
通常ですと、月次点検時に無負荷運転にて状態の確認をすることや、始動用蓄電池の電圧などを確認、燃料の残量を確認などの項目があります。
停電を伴う年次点検では、停電して自動で非常用発電機が起動するのかどうか?を確認します。
電気主任技術者もしくは電気管理技術者として確認する項目は以上となります。
ですので、これ以上の点検に関しては設置者様による確認や消防設備屋さんか発電機メーカーでの対応となるということになります。
例えば月次点検等で発見した不具合をお客様へ報告したとして、その修理や再点検を行うのは消防設備屋もしくは発電機メーカーの対応ということです。
この辺の事情をよく理解されていないお客様が多いので、よく修理の見積りを下さいとか言われますが結局外部業者に依頼する形になるということをご理解いただけるとありがたいです。
なお、この修理対応についてはお抱えの消防業者さんがいらっしゃる場合が多いので、そちらに依頼いただくケースも多いです。
どちらでやられるかはお客様次第ですので、その旨お伝えするようにしています。
他の法律についてどのような規定があるのか
電気事業法については上記の通りですが、残りの法律については総じて運転時間の確保を求めている形になります。
消防法では、年1回の総合点検と半年に1回の機器点検を実施するよう定められており、その報告書を消防署へ提出するようになっています。
この点検は先程の電気主任技術者等が実施する点検内容と違うので、まったく別枠で報告書を作成し提出する必要があります。
さらに厄介なのは、年に1回全体の30%の負荷をかけた状態で試運転もしてくださいというものがあります。
なかなかこれを実施するのはハードルが高いということで、2~3年前くらいに法改正され条件付きで6年に1回の負荷試験でよくなりましたが、いずれにしてもいつかはやらなければいけないので大変です。
そのため、模擬負荷試験ができる装置を使った負荷試験を実施するところが増えてきているようです。
値は張りますが、やらないと罰金や指導があることもあるのでしっかり実施しておきたいところですね。
また、消防法では連続60分以上の運転が継続できること、燃料は2時間以上の容量を持つこと、40秒以内に電圧確立することなどが規定としてあります。
ですので、電気の月次点検等で気を付けるべきは燃料の残量と運転できる状態であるかどうか?というところです。
大体の月次点検報告書はその旨記載するようになっていますので、そこを見ていただければ問題があるかどうか一目でわかるようになっています。
建築基準法に関しても、消防法と同じく連続30分~60分連続運転ができることを規定しています。
以上の理由により、非常用発電機の状態確認において必要なのは下記の通りです。
①非常用発電機が運転するかどうかの確認
②非常用発電機の燃料が少なくないかどうかの確認
③年1回もしくは6年に1回の実負荷試験の実施
④年1回の総合点検と半年に1回の機器点検の実施
以上となります。
①②は電気主任技術者もしくは外部委託にて確認が可能ですが、③④については消防設備業者等でないと対応が難しいです。
ぜひ、ご確認とご検討をいただければと思います。
まとめ
ということで今回は非常用発電機の保守運用についてお話していきました。
法律が複雑に絡み合うので少しややこしいですが、覚えておくべきは4つだけなのでわかりやすかったと思っていただければありがたいです。
以上、ここまでお読みいただきありがとうございました。