電気設備の点検周期の考え方について

HPをご覧いただきありがとうございます。諸川電気管理事務所の諸川です。

今回は設置者様がご対応いただいている月次、年次点検についての点検周期の考え方についてお話したいと思います。

まず最初に、自家用電気工作物を設置するすべての事業者には、電気の保安の確保をしなければならないと電気事業法により定められています。

これは、基本的にはその事業者の社員等により管理されるというのが一般的ですが、外部委託へ出すことも可能というのが現在の法律の定義です。

よって、私のような電気管理技術者もしくは関東電気保安協会等の保安法人が各事業者より保安業務を委託されて、適宜点検を実施することとなります。

この点検は、経済産業省に提出する保安規定に則り実施されますので、ここの項目を設置者並びに私や保安法人がよく理解して点検を実施することが必要となります。

上記は一例ですが、通常この保安規定に則り点検を実施してさえいれば、経済産業省等に目を付けられることもないということになります。

この保安規定ですが、一般的に日常点検、月次点検、年次点検という3項目で分けられることが多いです。

日常点検は毎日実施する必要がある項目なので、設置者自らが実施するような項目もあります。

ですので、こちらに関しては月次点検時に全て実施するよう明記されていることも多い項目となります。

また、年次点検とは1年に1回事業所を全て停電させた状態で点検を実施することをいう場合が多いです。

停電させますから、事業者は電気管理技術者もしくは保安法人等の連絡により実施日を調整し、その事業所の運営に支障がないよう配慮する必要があります。

また、停電させるというのが一般的に受け入れられにくいという面も多くございますので、どれだけ設置者様にご理解いただけるかという部分も重要です。

正直、停電を嫌がるお客様の方が多いのが現状で、多くの電気を常に使用している事業所ほどこの傾向が顕著です。

こういった場合は、年次点検の重要性や電気事業法についての理解、停電事故を未然に防ぐための点検だということをよく理解していただくよう説明する必要があります。

それでも、実施されないお客様はなかにもいるので、その際は設置者の責任により未実施ということで記録を残しつつ、継続して理解いただけるよう説明していきます。

点検周期の考え方について(月次点検)

月次点検は、毎月点検と隔月点検(2か月に1回)、3か月点検があります。

毎月点検は特に条件はなく通常の事業所は毎月点検となるのですが、残り2つに関しては条件を揃えると毎月点検でなくても電気事業法的に問題ないと判断されます。

これは管理側としても非常に助かる制度で、できる限りこの条件をクリアさせて隔月点検とする場合が多いです。

この条件としては、下記の通りです。

  1. 次のイからホまでの設備条件の全てに適合する信頼性の高い需要設備であって、設備容量が100kVA以下のもの又は低圧受電の需要設備にあっては隔月1回以上
    イ 構外にわたる高圧電線路がないもの
    ロ 柱上に設置した高圧変圧器がないもの
    ハ 高圧負荷開閉器(キュービクル内に設置するものを除く。)に可燃性絶縁油を使用していないもの
    ニ 保安上の責任分界点又はこれに近い箇所に地絡保護継電器付高圧交流負荷開閉器又は地絡遮断器が設置されているもの
    ホ 責任分界点から主遮断装置の間に電力需給用計器用変成器、地絡保護継電器用変成器、受電電圧確認用変成器、主遮断器用開閉状態表示変成器及び主遮断器操作用変成器以外の変成器がない
    もの
  2. 前号のイからホまでの設備条件の全てに適合する信頼性の高い設備であって、低圧電路の絶縁状態の適確な監視が可能な装置を有する需要設備又は非常用照明設備、消防設備、昇降機その他の非常時に使用する設備への電路以外の低圧電路に漏電遮断器が設置してある需要設備にあっては隔月1回以上
  3. ①に適合する需要設備であって、次のイからハまでの全ての設備条件に適合するものにあっては3月に1回以上
    イ 受電設備がキュービクル式であるもの(屋内に設置するものに限る。)
    ロ 蓄電池設備又は非常用予備発電装置がないもの
    ハ 引込施設に地絡継電器付高圧交流負荷開閉器又は地絡遮断器が設置してあるもの

上記の通りとなります。

簡単に3つにまとめると、

①100KVA以下で条件を揃えると隔月1回点検が可能
②100KVA以上でも絶縁状態を監視する装置(通称”絶縁監視装置”と呼ばれるもの)をつければ隔月1回点検が可能
③100KVA以下かつさらに条件を揃えると3か月に1回点検が可能

となります。

電気設備の保守管理を外部委託される場合、必ず確認が必要な項目となっているのでご参考にしてみてください。

点検周期の考え方について(年次点検)

年次点検は停電させて点検することから、一番不具合の状況等をよく確認することができる点検内容となっています。

ですので、法律を守ることも重要ですが事故防止という観点からでも年次点検は非常に重要となります。

特に下記の項目については停電させなければできませんので、最優先で実施するようにしています。

①接地抵抗測定(事故電流を確実に地面に逃がすことができるか確認する)
②電路の絶縁抵抗測定(漏電している回路や機器はないか確認する)
③保護継電器試験(事故が起きたとき迅速に電源を切り、関係者もしくは第三者への感電事故や波及事故を防ぐことができるか。損害賠償問題の回避)
④非常用予備発電装置試験(停電したときにちゃんと動くのか確認する)
⑤蓄電池試験(停電したときに機能するか確認する)

これは外部委託であっても保安法人であっても必ず実施している項目です。

これらの試験を実施するためにも、設置者のご理解とご協力により年次点検の実施がされるようご配慮いただくようお願いしております。

まとめ

ということで今回は点検についての考え方をお話しました。

この記事により、一人でも多くの設置者様が点検を実施することの重要性についてご理解いただけると幸いです。

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。

 

諸川電気管理事務所代表 諸川真吾 1984年、北海道生まれ横浜育ち。 工業高校を卒業後、神奈川県の電気工事会社へ。紆余曲折経てビル管理業へ転職後、電気保安管理の実務経験を積み2021年10月に独立。 HP、TwitterなどのSNSや広告運用などを駆使し業績拡大中。 同時に電気保安管理についてのブログ運営を行い同業者を支援し増やす取り組みを行う傍ら、職業訓練校の非常勤講師として活躍。 現在は、法人化を視野に入れた営業活動に力を入れつつ、大手法人の年次点検応援なども行っています。

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